台風16号の特徴

記録的な大雨となったのは、台風の勢力もさることながら、九州〜関東付近に秋雨前線が停滞していたことが要因です。
台風が九州近くまで北上した際に、台風のすぐ北に伸びていた秋雨前線を、熱帯由来の暖かく湿った空気が刺激し、雨雲が発達。台風中心の北側に、活発な雨雲を伴う形となりました。
台風と前線のあわせ技。秋の台風シーズンによく見られる状況です。
19(日)13時からの48時間積算雨量

特に大雨になったのは宮崎県・高知県でした。これは地形的な理由です。
台風中心の北側を吹く南東の風が、宮崎県沿岸や高知県・徳島県沿岸など「南東斜面」に湿った空気を送り込み、山の斜面で上昇気流が強まって、雨雲が発達したものと思われます。

台風16号は、これまでに上陸した台風のコースと比較すると、綺麗な時計回りのカーブを描いています。これは、太平洋高気圧の縁をまわる風に乗って進んだ証拠です。
秋のシーズンになると太平洋高気圧が夏よりも張り出しが弱まり、日本付近に接近上陸しやすくなります。まさに、16号はこのパターンでした。
一方で、ほかの台風のコースを見ると、今年は高気圧に挟まれたり、別の要因も相まって、異例のコースを通る台風が多かったのです。
23年ぶりに「非常に強い」勢力で上陸した点も、特徴的です。
・東シナ海の海面水温が平年よりやや高く、27℃以上あった
・北の冷たい海域まで北上しなかった
・上空の風が発散していたことで、上昇気流が強化された
以上の3点で、台風の勢力が維持されました。この点は、通常の秋台風とは異なりました。